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031

こんにちはジュリエッタです。
先生の冷ややかな視線を浴びつつ完食です。ごちそうさまでした。
後片付けをして、昼休みの内に教室に戻らなければいけないのですが、
数人の男子から次々と手渡される未使用の食材が、その進行を阻みます。


「うわ!いっぱい貰ったね!どうしたのかな!」
「えっと…おそらくなんですけど」
「うん!」


「ホワイトデー…?」



032

こんにちはジュリエッタです。
サッカー部の山口君がくれたホワイトデーのお返しは、
魚肉ソーセージと明太子でした。親と子供のセット。再開。邂逅。


ロマンチック…



033

こんにちはジュリエッタです。
授業中です。五時間目は物理の斉藤先生ですね。

「この問題が解ける者はいるかね?」
「はい!」
「よし、田中!」
「わかりません!」


いつものことです。



034

こんにちはジュリエッタです。
委員長の神楽坂さんが号令をかければホームルームも終了です。


「起立、注目、礼。それでは皆さん気をつけて。私の行動にね…」


何故、暗い影を落とす



035

こんにちはジュリエッタです。
バイト先のコンビニに到着したのですが、困った事になりました。
制服を持ち帰った洗濯当番の方が今日は風邪でお休みだそうです。
店長の機嫌が悪くならなければいいんですが…

「あー。んだよ来れないんかー。変えの制服も無いしなー」
「どうしましょう」
「ま、仕方無いからジュリエッタちゃんはセーラー服のままで接客しようか。ゲヘヘ」


あれ、嬉しそう。



036

こんにちはジュリエッタです。
セーラー服でコンビニバイトになってしまいました。これは恥ずかしい。
出来るなら羽織るものでもあればいいんですけど…

「店長、上に着るものはありませんか?エプロンとか」
「あ、大仏の被り物があるよ。セーラー大仏ジュリエッタで売り出そうぜ」


売り出す?



037

こんにちはジュリエッタです。
大仏は店長が被ることになりました。なんでだろう。
セーラー服と大仏がレジ打ちをするコンビニ、これは面白いかもしれませんね。
ほら、また入店した客がUターンして帰っていきました。


帰っていきました。



038

こんにちはジュリエッタです。
コンビニにも各店舗によって客層に違いがありまして、
この辺は学生さんが多く、フレンドリーに話しかけられる事もしばしばです。


「いらっしゃいませー」
「店員さん、ちょっと聞きたいんだけど〜」
「はい?」
「このコンビニで一番、美味しいものって何?」


レジの中の現金ですね。




039

こんにちはジュリエッタです。
ポーションという飲み物の売れ行きが非常に良いです。
大学生風の方が箱ごと買っていくことも珍しくないんですよ。


「ポーション3箱くらいまとめて貰える?」
「倉庫にあればいいんですが…それにしても多いですね」
「ネットの掲示板とかで遊んでてさ〜もうポーション無しの生活が考えられないよ!」


薬物中毒は恐ろしいですね…



040

こんにちはジュリエッタです。
私にはお金が無いので、普段は食料品を買うこともままなりません。
店長の好意で、普段は廃棄処分されるお弁当を頂いているのですが、
今日は学校で貰った食材が沢山あるので、持って帰っても食べ切れませんね。

「店長、今日はお弁当は必要ないので、処分していただけますか?」
「お、久しぶりにプリンが余ったのに残念だねー」


そ、それは別腹ですよ?




041

無事バイト終了。おつかれさまでした。
引継ぎをすれば今日の仕事は終了ですね。


「でも制服が無いから困りものですよね。次の人は…山内さんですか」
「ありさちゃんかー。スタイルいいから困っちゃうよなー!ぐへへ」


噛み合ってないような。




042

山内さんが出勤してきました。制服が無いことに酷く驚いているようです。
ファッションにプライドを持っている方なので、嫌いな服は着れないでしょうし…

「そんなわけでさ、私服もしくは俺が貸せる服で仕事するしかないんだけど」
「じゃ、ゴスロリ貸して」


そういえば、いつもヒラヒラしてた。




043

山内さんが本気でゴスロリに着替えてきました。
「ナナ」という漫画の登場人物にゴスロリ少女がいて、それで流行っているらしいですね。


「ねえねえ、ジュリちゃん」
「はい?」
「乳酸菌とってるぅ?」


そっちか。





044

今度こそ今日の仕事は終了です。お疲れ様でした。


「お先に失礼します、山内さん」
「あ、ジュリちゃん。今夜私の部屋に来ない?」
「ええ、いいですけど、どうしたんです?」
「疲れたでしょ?マッサージと称して揉んであげるよ」


建前なんですね。



045

帰り道、携帯ゲーム機で遊んでいる少年達を見かけました。
やっているゲームは『脳トレ』のようです。脳を鍛えるのは良い心がけですね。 

 

とりあえず勉強しなさい。


 

046

帰宅しました。まず食材のチェックでもしましょうか。
卵が五個ほどありますね。お肉が少々と、あとは野菜が中心ですか。
お、野菜の下にガンダムプラモが埋まってますね。これはサプライズです。


って、イタズラだこれ。



047

こんにちはジュリエッタです。
食材の整理が終わりました。今日の夕飯はオムレツです。
ガスが止められてるので、調理する為にお出かけですよ。


深夜の学校に。



048

こんばんは、ジュリエッタです。
ドアを開けたところで、管理人さんと遭遇しました。お久しぶりです。
嘘を付くのは心が痛みますが、調理のために学校へ行くというのは隠さなければ。


「やあ、ジュリエッタちゃん。こんな時間に出かけるのかい?」
「はい、ちょっと私用で」
「そうかい、でも女の子の夜歩きは危険だからね…防犯ブザーを貸そうか?」


「いえ、文化包丁を持ってるので安心ですよ」



049

学校へ向かう最中、田中さんを見かけました。


「こんばんは田中さん、お出かけですか?」
「うん!英会話教室の帰りだね!ユーアーネーム ジョージ?」
「ノー ジュリエッタ」
「ノー!ノー!ノー!ユーアー ジョージ!!」


なんで。



050

こんばんはジュリエッタです。
学校に着きました。何故か田中さんも一緒です。あれ?


「夜の学校に入るんだよね!待ちに待ってたね!」
「なるほど、何かやりたい事でもあったんですか?」
「教室で生着替え!」


共学女子の夢ですね。



051

さて学校に侵入です。


「では学校に入りましょう」
「ドアの鍵開けだね!やってみたい事がある!」
「はい?」
「田中夕菜はアバカムを唱えた!しかしMPが足りない!」


ジュリエッタの冷たい視線!ミス、田中はダメージを受けつけない!



052

さて、入りますか。


「それで、どうやって入るのかな?」
「合鍵がありますので、これを使って」

きぃ…

「あれ、開いてるよドア。誰かいるみたいだね!」
「はい?」
「荒川先生の車がまだ置いてあるね!」
「…」
「…」


帰りましょう。



053

田中さんとは帰る方向が違うので別れます。また明日。
…お腹が減りました、でもダイエットと考えれば前向きですね、我慢我慢。
食べる事ばかり考えてはいけません、空を見上げれば綺麗な星空。
満月が、惜しみなく月光を振り下ろし、宇宙に映えるウサギの餅つき…わあ…!


美味しそう…!


 

054

自宅であるアパートに付きました。庭先で管理人さんが犬小屋を作っているようです。


「こんばんは管理人さん。犬小屋ですか?」
「そうだよ。家賃を滞納してる住人をここに閉じ込めちゃおうと思ってね!」
「ふふ、いいアイディアですね」
「そうだろ〜。犬コロには首輪も必要だよね、ジュリエッタちゃん!」


月末までにはなんとかします。



055

こんばんはジュリエッタです。
帰宅しました。学校の宿題をやらなければ。
国語は…ええっと「先生の良い所を三つ挙げて作文を書きなさい」ですか。
人間の良い部分なんて沢山ありますから、これは簡単ですね。


ヒゲが長い、ヒゲが白い、ヒゲがかっこいい。



056

山内さんが家に来ました。バイト帰りに寄ってくれたようです。


「じゅりちゃん、Tシャツが余ってるんだけど。使う?」
「よろしいんですか? あ…でも山内さん小さいからサイズが合わないような」
「大丈夫だよ。大きめなサイズじゃないと胸がキツくなっちゃうからね」


不愉快な方程式が成り立った気がします。




057

山内さんの家に遊びに行くことになりました。
前を歩く山内さんの後姿。髪がふわふわ揺れてお姫様みたいですね。


「山内さんの髪って綺麗ですね、秘訣でもあるんですか?」
「やっぱり恋をしなくちゃ駄目かな」
「なるほど、でも山内さん恋人いませんよね。気になる男性でもいるんですか?」
「ふふふ。男じゃなかったりして…じゅりちゃん意外に思うかもよ?」


「意外…ガードレール?」


 

058

山内さんと恋愛の話になりました。ふむ。


「じゅりちゃんって結婚はしたい人なの?」
「そうですね、籍は入れたいですね」
「愛情の証拠を残したいの?」


「相続権の証拠を裁判で、という意味もありますね」



059

山内さんの家にお邪魔しています。ご両親は不在のようですね。


「お腹減ったね。軽いものでも作ろうか?」
「あ、手伝いますよ。山内さん料理は得意なんですか?」
「へへ、カレーしか作れないけどね」


それ、軽くないですよ?


 

060

山内さんの家で夕飯を作っています。よいしょっと。


「じゅりちゃん、包丁使うの上手いね。慣れてるの?」
「ええ、ある程度は。こういうのはリズムですよ」
「チェケラッチョ、とか?」


チェケラッチョ、とか。



















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